ワークシェアリングとは!?仕事をシェアする働き方改革!!

2021.01.19

ワークシェアリングとは

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

ワークシェアリング(Job sharing)とは「仕事を分かち合う」という意味であり、これまで一人で担当していた一つの仕事を複数人で分け合うことによって、一人あたりにかかる負担を減らし、効率性ならびに生産性を上げようとする考え方のことです。労働者一人あたりの労働時間を短縮することにより、大人数が仕事を分け合って働くことができるため、社会全体の雇用者数を増やし、失業対策の効果もあります。また、雇用人数を減らすことなく、各従業員の労働時間を減らすことで賃金をカットできるため、リストラを回避するための手段にもなります。さらに、定年後の雇用対策や、働き方の多様化の手段として導入されるケースもあります。

オランダ・モデル

オランダでは、1980年代前半のオランダ病と呼ばれた大不況を克服するため、1982年に政労使間でワッセナー合意(労使間で『賃金削減』と『雇用確保のための労働時間短縮』が合意)が行われて以来、1996年の労働法改正(フルタイム労働者とパートタイム労働者との間で労働条件に格差をつけることを禁じるもの)や2000年の労働時間調整法制定(『労働者がフルタイムからパートタイムへ、あるいはパートタイムからフルタイムへ移行する権利』および『労働者が週当たりの労働時間を決められる権利』が定められている)によりワークシェアリングが劇的に進みました。

労働市場の改革は民間企業だけに留まることなく、公務員にも及びました。現在、教師や警察官といった職種もパートタイム労働者無しでは成り立たなくなっています。尚、パートタイムとは1日の労働時間を短縮するものだけでなく、週当たりの労働日数を短縮するものも含まれ、実際には週4日勤務や週3日勤務といった働き方が一般的になっています。この一連の改革は、オランダ・モデル(または、ポルダー・モデル)と呼ばれ、世界初のワークシェアリングの国となりました。

日本のワークシェアリング

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

日本では厚生労働省や日経連、連合などが導入に向けて話し合いを行い、2002年に「ワークシェアリングについての基本的な考え方」について三者が合意しました。その後、実施のための環境整備が具体的に進められました。世界では、ドイツやオランダ、フランスなどで日本に先立って導入が行われ、すでに失業率を低下させる効果が出ている国もあります。

日本のワークシェアリングの定義は、以下の4型に分けられます。

1.雇用維持型

不況などで企業の業績が悪化した際に、中高年や退職者の雇用を維持するため、一人当たりの労働時間を減らすことによって企業全体での雇用を維持します。人手不足の企業に適した方策です。

2.雇用創出型

様々な業務ごとの短時間労働を組み合わせることによって、雇用機会を増やします。休暇中の人に対して、新規雇用を生み出す効果があります。典型的な例としては、80年代前半のオランダにおける失業率12%が、2001年には3%を下回るまで低下した事例があります。

3.緊急対応型

製造業における急激な生産量の変動に対するワークシェアリングの手法です。現時点で在籍している労働者を解雇することなく、既存の仕事量を複数の労働者間で分配します。工場の稼働時間の短縮やシフト制の業務時間の短縮、休日の増加といった対策を行います。

4.多様就業型

フレックスタイムや在宅ワーク、パートタイム勤務といった多様な就業形態を採用することにより、育児や介護等でこれまで勤務が困難であった人材を活用する手法です。企業側はその時のニーズに合わせて雇用を行う事ができ、また労働者側も自分に合った働き方を模索することができるため、双方にとってメリットが見いだせます。

日本におけるワークシェアリングの課題

日本では、平成の不況時に政府が解雇を避ける目的で推奨しましたが、政府の求める基準レベルには達しませんでした。日本におけるワークシェアリング導入には、サービス残業の抑制による労働時間の観念の明確化、フルタイムとパートタイムの差別の禁止、業務領域の明確化が課題となっています。

企業のメリット:「職場環境の改善」・デメリット:「生産性の低下」

労働者のメリット:「労働時間の短縮」・デメリット:「収入の減少」

用語解説一覧

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