コーチングとは!?部下の力を引き出す発想!邪魔な指導は不要!

2020.11.04

コーチングとは

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

「コーチ」の語源となる英語のCOACHは、もともと馬車を意味しています。「馬車が大切なお客様を目的地まで送りとどける」という手段の概念から転じて、「コーチングを受けるクライアントを目標達成に導く支援を行う人」を指すようになりました。

「コーチ」と聞くとスポーツ界における指導者を指す際の言葉として思い浮かぶと思いますが、1880年代に行われたボート競技の指導者を「コーチ」と呼んだ時からスポーツ界で使われるようになったと言われています。その後1950年代に入り、マネジメントの分野で「コーチ」が使用されるようになりました。当時、ハーバード大学助教授であったマイルズ・メイスが、「マネジメントの中心は人間であり、人間中心のマネジメントの中で、コーチングは重要なスキルである」と自著に記しています。

研修では、2000年代以降、非常に流行しています。押し付けるのではなく、相手から考えを引き出すという概念が、日本企業の管理職に不足しており、広まりました。現在は、心理学の交流分析や、言語学者によって提唱された神経言語プログラミング(NLP)などの手法を取り入れて、個人の目標達成や、ビジネス上における個人およびチームが目指すゴールに向かう際の支援にも応用されています。

コーチングとカウンセリング

コーチングとカウンセリングは、スキルという観点からは似通っていますが、それぞれの対象(受け手)となる相手の状況や目的が異なります。カウンセリングは主に、対象が現在抱えている精神的・心理的な問題(悩み)を解決するために、相談する・援助するというスタンスで、治療或いは未然に防ぐという処置を行うものです。そのためカウンセラーは、現在の問題に至った原因を探るために、対象の過去に一緒にさかのぼって、幅広い事象についてアプローチを行い、悩みの根本原因を見つめ直してもらい、マイナスの状態からゼロに引き上げます。

一方、コーチングの目的は、未来に向かっている対象の行動変容を促すことです。対象のなりたい姿を実現するために、クライアント自身が持つ潜在的な能力や強みを引き出して、そこから実際に自身で行動を起こしたり行動を変えたりするまでになるようサポートするのが、コーチングの役割です。

ですのでコーチは、対象が目指す理想の状態を手に入れるために、現状とその先の目標を明確に把握し、それを実現させるためにどうすれば良いのかを一緒に考えていきます。つまりコーチングとは、現在と未来に焦点を当てて成果を出す手法です。対象がコーチとコミュニケーションを行う中で、対象自身が自分の現況を正確に把握し、それに伴って、未来の目標に到達するために必要な道のりを自覚し、実際の行動につなげていくことが出来るよう、ゼロの状態からプラスの状態に向ってコーチが引き上げるのです。

代表的な3つのコーチングスキル

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

コーチングにおける主役は、コーチング対象者です。対象者の取るべき行動(問いに対する答え)に対して、コーチが気づきを促すために、以下3つの代表的なスキルが必要となります。

  • 傾聴のスキル

傾聴とは、相手が伝えたい事を最後まできちんと聴き、相手の心の中にある思いまですくい上げる事です。そのためには、相手の話す内容をまず「受け容れ」、相手の思いに「共感」して理解を試み、相手の話の真意を「確認」して理解を深めることが大切になります。コーチとしては、対象者自身が思っていることや感じていることを何でも自由に話してもらい、それに対して聴くスキルを高め、対象からより多くの話を引き出せるようになり、また信頼関係を築くことに繋げるのが大切になってきます。

  • 承認のスキル

承認とは、相手の良いと思われる部分・相手の存在を認め、それを言葉に出して伝える事です。これは「マズローの承認欲求」を満たすことに繋がります。承認はさらに以下の3つに分類されます。

存在承認:相手の存在自体を認める承認です。例えば感謝の気持ちを言葉で伝えたり、期待していることを明確に伝え、相手の承認欲求を満たします。

結果承認:相手の行動がもたらした成果を認める承認です。良い結果に対し、肯定的な言葉で気持ちを伝え、相手に更なるやる気を促します。

事実承認:結果に至るまでの過程や、日常における相手の些細な様子を認める承認です。事実がしっかり見られているという喜びが、相手のモチベーションを高めます。コーチは、対象者の現状や考え方に対して、都度言葉を使って承認を行います。

  • 質問のスキル

質問は、相手の意見や考えを引き出すことにより、思考の整理整頓や無意識の意識化を促す効果があり、その結果、相手の能力を高めたり可能性を広げたりすることに繋がります。質問方法には、「肯定・否定質問」「過去・未来質問」「拡大・限定質問」があり、対象者が自ら考えて答えを導き出せるよう、質問で促します。

このようにコーチは、上記3つのスキルを使いながらコミュニケーションを的確に行い、対象者が目標を迅速かつ出来るだけ多く達成できるようサポートを行います。

※本記事は、ネットや書籍から情報を収集した上で、弊社および第三者の知識を加えて加筆修正した記事です。

用語解説一覧

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