Ｘ理論Ｙ理論Z理論とは！？人間の本質をひもとく3つの人間心理の見方！

2021.10.09

Ｘ理論Ｙ理論とは

（画像は弊社人材開発用語集より抜粋）

Ｘ理論Ｙ理論（McGregor’s motivational theory X theory Y）とは、アメリカの心理学者・経営学者であり、マサチューセッツ工科大学教授であったダグラス・マクレガー（Douglas M. McGregor）によって1950年代後半に提唱された、人間観および動機づけにかかわる二つの対立的な理論のことを示しています。（著作：『企業の人間的側面/The Human side of Enterprise』）

マズローの欲求段階説をベースとしながら、「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されたりしなければ仕事を遂行しない」とするＸ理論と、「生まれながらに責任が嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」Ｙ理論によって構築されています。

（画像は弊社人材開発用語集より抜粋）

Ｘ理論

Ｘ理論は、マズローの欲求５段階説における「生理的欲求」や「安全の欲求」といった低次欲求を比較的多く持つ人間の行動モデルにあたります。例えば、向上心の低い部下に対しては、命令や強制等で管理を行い、目標が達成できれば報酬を与え、達成できない場合は処罰を与えるという「アメとムチ」を利用したマネジメント手法を取ります。これを「権限行使による命令統制のＸ理論」と呼びます。

Ｙ理論

一方、Ｙ理論は、マズローの欲求５段階説における「社会的欲求」や「自我・自己実現欲求」といった高次欲求を比較的多く持つ人間の行動モデルにあたります。例えば、部下が自らチャレンジしたいと考えている目標や責任を与えることによって動かしていく、「機会を与える」マネジメント手法を取ります。これは「統合と自己統制のＹ理論」と呼びます。

Ｙ理論では、企業目標と、従業員個人の欲求や目標を明確な方法で統合することが出来れば、企業はより効率的に目標を達成することが出来ると示しています。その場合、従業員は絶えず自発的に自分の能力・知識・技術・手段を高め、それを実践に生かして、企業の発展に貢献するようになるのです。

Ｘ理論Ｙ理論に対する批判から生まれたＺ理論

マグレガーは晩年、Ｘ理論とＹ理論が両立しないという批判に応え、それを解決する一歩進んだ理論の開発を始めました。この理論の一部として彼が提唱した概念には、終身雇用、職場の内外での従業員への配慮、コンセンサスによる決定、品質第一の考え方等があります。それはＺ理論という仮称で呼ばれましたが、その理論が広められる前にマグレガーは亡くなりました。

その後、1970年代に、日本企業（Ｊ型）とアメリカ企業（Ａ型）の比較対照を行ったウィリアム・オオウチが、この原理を展開することになります。彼によるとＡ型企業には、短期間の雇用、昇進の早い専門的キャリア、個人での意思決定や責任といった傾向があります。一方、Ｊ型企業は、個性よりも集団主義と安定性を重んじる日本社会の基本精神を反映しています。ヒューレットパッカードやＰ＆Ｇといった、Ｊ型の特徴を兼ね備えるアメリカ企業は、Ｚ型と名付けられました。