組織社会化【研修・人材育成用語解説】

2021.01.19

#HR

#コミュニケーション

#採用

#新入社員

#研修用語

組織社会化とは

組織研究において、新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのことを「組織社会化」と言います。

個人が組織に参入する時は、必ずこの組織社会化の過程を通過しなければならないと考えられています。つまり「組織社会化」とは、新参者が職場になじんで一人前になっていくプロセスのことです。わかりやすい例としては新入社員が挙げられるでしょう。入社直後は学生気分が抜け切らず、右も左もわからなかった彼らが、新入社員研修を終え、それぞれの職場に配属される頃には、組織社会化の途上にあるわけです。

その道をくぐり抜けた上で「組織人になる」、「組織における真の一因となる」あるいは「会社や組織の色に染まる」ということです。新人教育とは本来、この「組織社会化」を図り、促す取り組みです。新人を効率的に組織に適応させて必要なスキルを習得させ、彼らをいかに早く戦力化するか、ということがまさに「組織社会化」なのです。

組織社会化の現状

ビジネス環境が厳しさを増す中、新人が自然と成長して一人前になるのを待つ余裕がないのは、どの組織も同じです。

現に昨今、多くの企業で、新人の組織社会化をスピードアップさせる傾向が顕著になってきました。新卒内定者研修や入社時研修を早期化・強化し、メンター制度の導入やOJT制度の見直しを進めるなど、いずれもその方針に沿った施策といえます。

新人の戦力化が急務であることだけが理由というわけではありません。組織社会化が進まない、あるいは不十分な新入社員は、職場環境に適応できていない状態で働いていることになります。それが続けば、多くが“3年3割”といわれる早期離職の道を辿るか、メンタルヘルスの不調に陥りかねません。そのリスクを抑えるためにも、会社として組織社会化を強く促進し、職場への順応を急がせなければならないのです。

組織社会化の課題

そこで、新入社員が組織になじむ上で乗り越えるべき「3つの課題」があります。

  • 文化的課題:これは、各組織の「文化」に対する適応の課題のことです。組織にはそれぞれ特有の言葉やしきたり等が存在します。そのような暗黙のルールは、明文化されている訳ではないため、新入社員がしばしば最初にぶつかる障壁となります。組織社会化のためには、その暗黙をいかに把握するかということが重要になってきます。
  • 役割的課題:組織において自分の価値を示すためには役割が必要となります。会社における自分の存在価値を見出すことが、組織に適応するための重要な手段となります。
  • 技能的課題:その組織に必要な技能、その組織を成長させるための技能を身に付けることで、組織の一員として価値を発揮することが可能になります。

キャリア形成における組織社会化の重要性

ほとんどの場合、組織社会化のプロセスは、新人のときに一度くぐれば終わりではありません。終身雇用が当たり前だった時代でも、誰もが異動のたびに新しい組織や職場環境に順応する必要に迫られ、改めて組織社会化を刷新していたのです。まして現在は雇用の流動化が進み、組織間の人材の移動が激しくなる一方、M&Aや事業再編も繰り返され、組織そのものが揺れ動いています。ひとつの組織で社会化され、せっかく一人前になっても、その組織自体が変化してしまうかもしれないのです。

組織社会化のプロセスを経て修得した知識やスキルは、その組織でしか機能しないものであることが多いと言われます。また一定の経験や能力を培っても、職場によってそれを発揮するための手続きや方法論が違うというケースもあるでしょう。前の職場での実績を評価されて栄転した人が、新しい職場で行き詰まり、ついにメンタルを害してしまった、という話に触れると、組織社会化の重要性と難しさを痛感せざるを得ません。キャリアを積み重ねていくためには、私たちは何度でも学び直す必要があるのです。