ARCSモデルとは!?行動変容させる研修の初歩!!

2020.12.09

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ARCSモデルとは

ARCSモデルは、アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラー(John M. Keller)が1983年に提唱した、動機づけの理論を活用し、研修の企画や教材開発の際に学習者の動機づけを高める方法をモデル化したものです。

ケラーは、学習意欲を高める手立てを「やる気を出させる・勉強する意欲を持たせるにはどうしたらよいか」と考えるのではなく、「なぜやる気がでないのか」という観点から見つめました。そして、注意(ATTENTION)・関連性(RELEVANCE)・自信(CONFIDENCE)・満足感(SATISFACTION)の4要因に整理し、各々の動機づけに応じた作戦を立てるのが効果的ではと考えました。そして、それぞれの頭文字を取ってARCS モデルと名づけました。現在では、心理学研究における期待×価値理論を背景に、その実用性の高さにより、米国を中心に高い評価を受けています。

ARCSモデルの4要因とは

  • 注意(Attention)

学習者の興味・関心を引き、探究心を喚起することです。注意を持続させるには、マンネリを避けて授業の内容に変化を織り込み、学習者に「これは面白そうだ」「ここには何かありそうだ」と思わせることが大切です。授業で変わったことや不思議なことが起こったり、驚きがあったりすると、彼らの探求心が刺激されます。これが「注意」の要因です。目新しいことに関心が集まること、「何かがおかしい、もっと調べてみよう」という好奇心、あるいは「今日は何だかいつもと違う」というハプニングを期待する気持ちなどは、全て「注意」の要因が刺激されて学習意欲が高まった結果と考えられます。

  • 関連性(Relevance)

学習目標・課題に対して親しみを持たせ、与えられた課題を受身でこなすのでなく、学習者自身が自分のものとして積極的に取り組めるようにすることです。まずは目標に向かうプロセスを楽しめるよう促し、学習活動におけるやりがい・意義を学習者に見出させるのです。例えば、今勉強すれば将来きっと役に立つという結果の価値を意識することや、それと同時に「自分の良く知っている事柄と関係がある」と思わせること、また、友達と一緒に勉強するといったプロセス自体の価値も「関連性」を高めると考えられます。すなわち、「やりがい」を感じられるかどうか、これが「関連性」の要因です。

  • 自信(Confidence)

ゴールを明示し、成功の機会を与えることです。自分の努力によって成功したと思える教材を実現し、「やればできそうだ」と思わせることが大切になります。例えば、何かを学ぼうとする場合、「どうせ達成する可能性は低いから無駄だ。失敗するに決まっている。」という思考回路になれば、意欲を失うのは当然です。逆に、学び始めの時期に、例えどんなに単純な経験でも「うまくいった」という成功体験を重ねること、そして、自分が工夫したからこそ成功を導くことができたと思えるならば、「やればできるのだ」という自信がついてゆきます。講師の指示にただ従うだけではなく、ゴールを明確にし、試行錯誤を重ね、自分なりの工夫を凝らしてそれをクリアした場合、これを「学習の自己管理」と呼ぶのですが、自信はさらに高まります。自分の努力が実ったと考えられるようになれるかどうか、これが学びに対する「自信」の要因です。

  • 満足感(Satisfaction)

学習結果を無駄に終わらせることなく、学習の過程を振り返り「やってよかった」と思えるならば、次の学習意欲へとつながる満足感が達成されます。そこには例えば、身につけた技能が実際に役に立った経験や、目標達成時における教師や仲間等からの認知や賞賛、努力を無駄にさせない首尾一貫した学習環境などが重要になってきます。自らの努力が実を結び、実力がついたと自己認識し、かつ、公平な評価によって自分の努力が正当に評価されたと感じられると、次段階の学習意欲につながるのです。これが「やってよかった」という「満足感」の要因です。

動機づけを設計する手順

学習者の動機付けを高めるには、教育設計手法(インストラクショナルデザインプロセス)に、授業の「魅力」を高めることを目的とした動機づけ設計の過程を組み込む必要があります。その手順の中で特に重視されるのは、以下の3点です。

学習者特性の分析:

学習意欲の課題をARCSの4要因で確定し、学習者の状況に応じて学習意欲に関する目標を設定する。

方略の選択的採用:

学習者・課題・学習環境の特性に応じて、選択的に方略を採用する。シンプルかつ効率重視の授業や教材が、最も学習意欲を高めるとも言われている。

形成的評価と改善:

学習者検証の原理に基づき、実際の効果を確かめながら方略を評価・改善する。学習意欲の目標達成度と認知的学習の課題達成度の両面から、動機づけ設計の結果を評価する。

 

用語解説一覧

【経営層向け】
・学習する組織とは?
https://weport.jp/column/learningorganization/
・ミッションステートメントとは?
https://weport.jp/column/mission/
・組織の成功循環モデルとは?
https://weport.jp/column/coretheoryofsuccess/
・組織の7Sとは?
https://weport.jp/column/sevens/
・トータルリワードとは?
https://weport.jp/column/totalreward/
・オープン・ブックマネジメントとは?
https://weport.jp/column/obm/
・コンフリクトマネジメントとは?
https://weport.jp/column/conflictmanagement/
・AQ:逆境指数とは?
https://weport.jp/column/aq/
・EQ:こころの知能指数とは?
https://weport.jp/column/eq/
・SQ:社会的知数とは?
https://weport.jp/column/sq/

 

【マネジャー向け】
・コンピテンシーとは?
https://weport.jp/column/competency/
・リーダーシップとは?
https://weport.jp/column/leadership/
・マインドセットとは?
https://weport.jp/column/mindset/
・OJTとは?
https://weport.jp/column/ojt/
・コーチングとは?
https://weport.jp/column/coaching/
・マズローの欲求5段階とは?
https://weport.jp/column/maslow/
・X理論、Y理論とは?
https://weport.jp/column/xy/
・モチベーション理論とは?
https://weport.jp/column/motivation/
・水平的(360度)評価とは?
https://weport.jp/column/suiheihyouka/
・ピグマリオン効果とは?
https://weport.jp/column/pygmalion/
・レシプロシティとは?
https://weport.jp/column/reciprocity/
・メラビアンの法則とは?
https://weport.jp/column/mefrabian/
・アンラーニングとは?
https://weport.jp/column/unlearning/

 

【人事担当者向け】
・研修講師を評価するスキルとは?
https://weport.jp/column/kousicheck/
・キャリアラダーとは?
https://weport.jp/column/rader/
・キャリアプラトーとは?
https://weport.jp/column/plato/
・キャリアドリフトとは?
https://weport.jp/column/drift/
・キャリアアンカーとは?
https://weport.jp/column/anker/
・感情労働とは?
https://weport.jp/column/emotionallabour/
・経験学習とは?
https://weport.jp/column/kolb/
・計画された偶発性理論とは?
https://weport.jp/column/planned-happenstance-theory/
・交換留職
https://weport.jp/column/koukan/
・組織社会化とは?
https://weport.jp/column/socialpro/
・認知的徒弟制度とは?
https://weport.jp/column/cognitive-apprenticeship/
・職能給と職務給とは?
https://weport.jp/column/syokunoutosyokumu/
・ロールモデルとは?
https://weport.jp/column/rolemodel/
・ワークプレイスメントとは?
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・ARCSモデルとは?
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・インシデントプロセス法とは?
https://weport.jp/column/incident/
・エニアグラムとは?
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・オープン・スペース・テクノロジーとは?
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・ソーシャルラーニングとは?
https://weport.jp/column/sociallearning/
・ダイアログ・イン・ザ・ダークとは?
https://weport.jp/column/dialogueinthedark/