2021.01.08
コンフリクト・マネジメントとは
(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)
コンフリクト(conflict)とは、「意見や利害の衝突、葛藤、対立」といった概念を意味する言葉です。そこから派生して、組織運営においてネガティブに評価されがちな状況を、逆に組織の活性化や成長の機会と捉え、積極的に受け入れて問題解決を図ろうとする考え方を「コンフリクト・マネジメント」と呼びます。
企業内で働く人々同士が円満な関係を築いているだけでは、実は社内を活性化することは実際のところ困難です。時には人材間の衝突も受け入れて、その過程を経ることにより、組織がより良い方向に進む作用を起こすのです。コンフリクトを戦略的に活用することで、組織内のコミュニケーションや人間関係が強固になったり、異なる意見を集約する過程で新しいアイデアが生まれたりするなど、組織にとって多くのメリットを期待することができます。
現代の職場で増加するコンフリクト
一人ひとりに年齢や性別といった違いがあるのはもちろんのことですが、勤務形態や就労経験の異なるメンバーが同じ職場で働くようになり、働く文化の多様性が進む一方で、ビジネスにおけるそれぞれの課題は高度になり、また複雑にもなり、組織全体の利害を最適化することや合意を形成することが難しくなっています。激しい競争を勝ち抜いてゆくために、企業が大胆な改革を実行しようとする時、そのような行動は脅威とみなされ、組織内で抵抗する動きも出てきます。そうした環境変化を受けて、現場では日々、さまざまな対立や葛藤が生じています。このようなコンフリクトの状況下において、自らが持つ怒りの感情をうまくコントロールできない人が増加しているのも事実です。多くの組織がトラブルの火種になるようなコンフリクトを抱えており、それを主体的に解決できない現状があることも否めません。
コンフリクトが組織を強くする
一方、コンフリクトに正しく対処する術を備えていれば、意見の衝突や感情的な対立を恐れる必要はなくなり、むしろそこに多くのメリットを見出すことが可能になります。例えば、抵抗が生じることはつまり、その改革が企業にとって重要である証でもあり、組織に動機づけを行うことにつながります。
対立する当事者同士が、率直な本音をぶつけ合うことで相互理解を深めたり、風通しの良い職場の雰囲気を醸成したり、議論の幅を広げ意思決定の質を高めたりするきっかけにもなります。このようなコンフリクトの過程を経て得た学びは、さらなる成長や行動に結びついて、組織における業績の向上や成果を生み出す基盤を形成してゆくのです。
コンフリクトとは
(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)
コンフリクトを生じさせる対立には、主に以下の3つがあります。
条件の対立: 上司部下の上下関係・仕事内容における意思の対立
認知の対立: 理想と現実・印象と事実の対立
勘定の対立: 優越感と劣等感・満足と後悔・愛情と無関心の対立
また、これらの要素で起こった上司や部下との衝突や、他部門との軋轢を通じ、人がコンフリクトに直面した時に取る態度は、次の五つに分類されます。
1.競争 ― 自己主張・非協力: パワーや権威で圧倒し、相手に自分の意見を強制する。
2.受容 ― 非自己主張・協力: 自分の利益や要求より相手のそれを優先して解決する。
3.妥協 ― 双方が要求水準を下げて、自分の利益・主張の部分的な実現を目指す。
4.回避 ― 非自己主張・非協力:対立する状況そのものを回避し、解決を先送りする。
5.協調 ― 自己主張・協力:対立点を明確にしつつ、お互いの利益を尊重する建設的な議論で解決する。
コンフリクトの解消
コンフリクト・マネジメントにおけるコンフリクトの解消とは、対立する双方の関係を、いわゆる一方が勝てば必ず他方が負ける関係「ゼロ・サム」の状態から、双方が勝つ「Win-Win」の状態へ移行させることに他なりません。相手と争うのではなく、まして対立を安易に避けるのでもなく、上記の五つのスタンスのうち、「協調」のアプローチをもって問題解決に向け積極的な取り組みを行うべきなのです。
コンフリクトを戦略的かつ効果的に扱えるようになることこそ、健全で強固な組織の必要条件と言っても過言ではないのです。結果的にコンフリクトが起きて良かったという着地点が見いだせた時、まさに組織はコンフリクトを活用して成長を遂げたと言えるでしょう。
用語解説一覧
【経営層向け】
・学習する組織とは?
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・ミッションステートメントとは?
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・組織の成功循環モデルとは?
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・オープン・ブックマネジメントとは?
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・コンフリクトマネジメントとは?
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・AQ:逆境指数とは?
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・EQ:こころの知能指数とは?
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【マネジャー向け】
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