学習する組織とは!?自律型人材:組織をつくる大前提となる概念!!

2021.01.19

学習する組織とは

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

「学習する組織」とは、“Learning Organization”の訳語であり、または学習型組織とも呼ばれています。企業を取り巻く環境の急激な変化は世界中のトレンドであり、ビジネスサイクルの急速な短期化や、知識や技術に関する迅速なキャッチアップが必要不可欠となっています。このような企業の経営環境における要因の複雑化が、そこで働く人々にも直接的に多大な影響を及ぼしています。

学習する組織は、このような環境変化によって引き起こされる問題に対して、これまでの経営手法や考え方では対応が困難になってきたため、生み出された経営手法です。組織の構成員が互いにビジョンを共有しながら、行動と学習を自発的に繰り返すことで、組織全体の能力が高まっていく組織を指しています。そして、企業のマネジメント、組織論、チーム運営、ビジョン・戦略構築、人材開発等を包括する基盤となる考え方です。

学習する組織の由来

「学習する組織」の概念を最初に提唱したのは、クリス・アージリス(Chris Argyris)とドナルド・シェーン(Donald Schön)です。その後、MIT(マサチューセッツ工科大学)のピーター・センゲ教授(Peter M. Senge) が、システム論的な思考を土台としながらも個人とチームが効果的に変化を創出する能力を継続的に開発する組織という理論を、1990年に“THE FIFTH DISCIPLINE”(邦題『最強組織の法則』:徳間書店刊1995年)で提唱し世界中に広めました。センゲは「学習する組織」について、「あらゆるレベルのスタッフの意欲と学習能力を活かす術を見出した組織」であると述べています。その上で、実現するための方法論として5つのディシプリン(学習領域)を提示しました。

5つの学習領域(THE FIFTH DISCIPLINE)

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

(1)「自己マスタリー」:自己の人生において望んでいるビジョンや目的に対し、忠実に従った上で生きてゆこうとするプロセスのことです。現状との差を明確に認識することで、継続的に自己の能力向上に取り組みながら、常にその意味・目的・目指す姿を明らかにし続けることが必要です。これによって、自分のビジョンに向って自己啓発を進める組織環境を生み出すことが可能です。

(2)「メンタルモデルの克服」:メンタルモデルとは、一人ひとりが持つ「思い込み」や「固定観念」といった固定化されたイメージや概念を指します。個人の思考や行動に強い影響を及ぼす自己のメンタルモデルを常に内省しながら理解することによって、検証をおこない、改善し続けることが重要となります。

(3)「共有ビジョンの構築」:共有ビジョンとは、組織に属する全ての人々が共通して抱いている心のイメージのことです。このビジョンを持つことにより、組織の構成員が全員で選んだ将来の姿や目標に向けて自己啓発を進める環境組織を構築します。

(4)「チーム学習」:チームのメンバー同士の意見交換やディスカッションを通じて、学習意欲を引き出し、個人の力を総合した上でチームの能力を向上させてゆく過程のことです。これによって、本来望まれていた成果を生み出すことができます。チーム学習を実践するツールとしては、ウィリアム・アイザックなど著名な社会学者によって展開され、デヴィッド・ボームの提唱する「ダイアログ(話し合いの方法)」が活用されています。

(5)「システム思考」:これは、さまざまな要素が複雑に関連している物事・事象といった課題の全体的な状況および相互関係を捉えることによって、一連のシステムとして理解し、解決策を見出す方法です。複雑なシステムにも必ず構造があり、その構造に気づいて把握することが解決に向けての重要な一歩となるのです。

この5つの学習領域は、相互に影響し合いながら成り立っているため、5つ全てを実践することで一つの集合体として機能させることが重要であり、その結果大きな相乗効果を生み出すことができます。

「学習する組織」の概念の普及

現在では「学習する組織」は、マネジメントの基本的な考え方の一つとして定着しており、今日注目されている90年以降に生み出されたマネジメント手法の多くは、この「学習する組織」の考え方を踏まえて作られています。自律型組織、サーバントリーダーシップ(仲間を支援・奉仕するリーダー)、エンパワーメント、コーチング、ナレッジマネジメントといった手法は、この基本的概念を理解しなければ導入しても効果がないと言われています。市場が変化するにつれ、上司が部下に指示・命令をする統率型組織から、上司と部下が互いに質問・傾聴を行う事で課題を共有する学習型組織へと移行することが必要不可欠なのです。

用語解説一覧

【経営層向け】
・学習する組織とは?
https://weport.jp/column/learningorganization/
・ミッションステートメントとは?
https://weport.jp/column/mission/
・組織の成功循環モデルとは?
https://weport.jp/column/coretheoryofsuccess/
・組織の7Sとは?
https://weport.jp/column/sevens/
・トータルリワードとは?
https://weport.jp/column/totalreward/
・オープン・ブックマネジメントとは?
https://weport.jp/column/obm/
・コンフリクトマネジメントとは?
https://weport.jp/column/conflictmanagement/
・AQ:逆境指数とは?
https://weport.jp/column/aq/
・EQ:こころの知能指数とは?
https://weport.jp/column/eq/
・SQ:社会的知数とは?
https://weport.jp/column/sq/

【マネジャー向け】
・コンピテンシーとは?
https://weport.jp/column/competency/
・リーダーシップとは?
https://weport.jp/column/leadership/
・マインドセットとは?
https://weport.jp/column/mindset/
・OJTとは?
https://weport.jp/column/ojt/
・コーチングとは?
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・マズローの欲求5段階とは?
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・X理論、Y理論とは?
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・モチベーション理論とは?
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【人事担当者向け】
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・キャリアプラトーとは?
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・ソーシャルラーニングとは?
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・ダイアログ・イン・ザ・ダークとは?
https://weport.jp/column/dialogueinthedark/