ワークプレースメントとは!?英国式インターンシップのカタチ!!

2021.01.19

「ワークプレースメント」(Work Placement)とは

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

「ワークプレースメント」(Work Placement)とは、“就労体験型学生派遣”のことであり、企業が在学中の学生を一定期間、派遣社員として有償で受け入れ、学生のキャリアにつながる就労の場を提供する仕組みを指します。インターンシップと違って、報酬を受け取ることができる上、通常のアルバイトでは経験できない実践的な職場体験が得られるため、学生の就業力の養成にも有効と期待されています。

通常、アルバイトとは報酬を得るための労働であるので、学生にとっては本分である学業がおろそかになってしまうリスクを抱えています。一方でインターンシップは、本来の目的である「学生の社会勉強」という概念を企業がきちんと理解せず、コストを掛けずに本来の業務を任せられるということで、「ただ働き」状態になってしまっている現状の課題が多く叫ばれていました。そこで、ワークプレースメントという、インターンシップとアルバイトそれぞれのメリットを引き出して融合させた就業体験プログラムの新しい形が構築されたのです。

ワークプレースメントの由来

「ワークプレースメント」という用語や制度そのものは、イギリスに端を発します。同国では一般的に、大学生などが在学期間中に企業や公共機関で職業経験を積むことをワークプレースメントと呼んでいます。日本で同義に使われるインターンシップという言葉は、法律家や医師など高度な専門性を持つプロフェッショナルの“見習い”を意味し、用語として区別されるのが普通です。

そもそもイギリスにおけるワークプレースメント制度は、1970年代に大卒者の就職状況が悪化したことから導入されたのが始まりであると言われています。大学などの教育機関が企業と連携しながら、学生の就業力向上を目指した実践的な人材育成に取り組む仕組みとして普及しました。元々イギリスでは、在学中のあらゆる生活費を学生自身が稼ぐことが当たり前とされてきたため、報酬を得ながら社会人としての業務実践力を身に付けられる制度として定着しています。

イギリスでは主に理工学系や語学系の大学で制度化されました。実施にあたっては、まず2年間は学業に専念し、次の1年間は企業での実習に充て、最後の1年は再び大学で学ぶというような“サンドイッチ方式”で行われることが多く、1年程度の長期にわたるのが伝統的なワークプレースメントの特徴です。しかし近年は、短期間のものも増え、実施形態は多様化しています。

日本におけるワークプレースメント

日本の大学生も、長引く景気低迷の影響で実家からの仕送りが年々減少しています。アルバイトとインターンシップ双方のメリットを融合させた、ワークプレースメントに対する学生の潜在的ニーズは少なくありません。現に、日本でも取り組みは始まっています。

日本で実施されているプログラムでは、企業と学生が直接契約を締結して雇用するのではなく、派遣社員として職場に受け入れられるのが特徴です。当然在学中であるため、派遣とは言っても、学業に支障の出ない働き方が基本になりますが、学生に提供される就業体験そのものはアルバイトより実践的です。

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

学生側のメリット

■「アルバイト」ではなく、その会社の「社員」として働くことにより、卒業前に社会を実体験することができます。

■就職活動前に企業と接点を持ち、業務内容を深く知ることができるため、視野を広げると同時に企業研究も行えるので、その後の就職活動に役立ちます。

■社会人としてのビジネスマナーやコミュニケーション力が身につき、就職前に社会人としての基礎力や実践力を備えられます。

■正社員と一緒に営業、企画、マーケティングなどの実務が経験できるため、本人の姿勢次第では、即戦力としてのスキル修得も可能です。

企業側のメリット

■就業体験を通じて、自社の魅力を学生に直接PRすることができます。

■学生の資質や意欲をじっくりと見極めながらアプローチすることで、ミスマッチの少ない効率的なリクルーティングが可能になります。

■「学生の就業力向上のための社会貢献」に積極的な企業として認められ、CSR評価の高まりも期待できます。

実験的にワークプレースメントを実施した企業の調査結果によると、ワークプレースメントを通じて採用された学生にヒアリングを行ったところ、就業体験前と体験後では、その企業への就職希望率が17%から57%にまで上昇しました。実際の就業体験が、企業に対する好感度上昇にもつながっているのです。

用語解説一覧

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