インシデントプロセス法とは!?リアル事例から学ぶ実践ノウハウ!!

2020.12.14

インシデント・プロセス法とは

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

インシデント・プロセス法は、マサチューセッツ工科大学のピコーズ教授によって考案された事例研究法(ケース・スタディ)の一つです。実際の場面で起こる出来事(インシデント)を事例としてまず提起・提案し、出来事の背景にある事実を収集した上で、問題解決の方策を考える方法です。従業員教育においては、主に情報収集や分析力の能力開発方法として用いられ、また管理職登用のアセスメント方法としても有用です。

象徴的な出来事の発表をもとにして、質問によって事例の概要を明らかにし、原因と対策を考えていくため、はじめに参加者に提示される情報はごく僅かです。参加者が発表者に質問しながら、必要な情報をいかに収集していくか、その過程が重要になります。その過程の中で、参加者には以下の効果が期待できます。

■判断力・職務遂行能力・問題発見能力・問題解決能力の開発
■情報を収集・整理し分析する能力の開発
■問題解決過程における傾聴力・理解力・共創力の開発

インシデント・プロセス法では、参加者各自が事例について考え、自らが実行しなければならないことに気づき、実行できるようになることを目指しています。以下、進め方を具体的に見ていくことにしましょう。

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

第1ステップ:出来事(インシデント)の提示と調査

○発表者
自分の仕事における問題で解決に苦労した実例を選び、その中で起こった出来事(インシデント)を具体的に提示します。

○司会者
参加者全員がその場面を具体的にイメージできるように、発表者に対して質問を投げかけます。

第2ステップ:出来事の背景にある事実の収集・総括

○司会者
参加者に次の留意点を説明します。

簡潔かつ具体的に質問をすること/質問を独占しないこと/他の参加者と協力して関連した質問をするように努めること/重複した質問は避けること/発表者の推測、感想、意見を求めないこと/質問者が偏らないようにすること/回答中に割り込んで質問をしないよう、各自コントロールすること/質問内容の分散や偏りを是正すること/必要あれば、まだ質問のない内容に気付くよう促したり、発表者に補足を求めること

○参加者
発表者に対して質問を行い、解決につながると思われる事実を集めます。司会者の説明した留意点に注意し、自分なりに出来事の全体像を組立てながら質問するよう努め、今後の対応は質問しないようにします。

○発表者
以下の留意点に注意し、事実を簡潔に回答します。

質問からそれる内容は回答しないこと/推測、意見は原則として言わないこと/推測を答える場合、その根拠となる事実や理由を簡潔に説明すること/今後の対応についてはコメントしないこと。

第3ステップ:問題点の洗い出し・整理

○司会者
まず、問題点を参加者間で自由に話し合ってもらいます。次に、今後の対応について参加者に「具体案」を書いてもらいます。最後に具体案を回収し、休憩を入れます。その間に内容を分類しておきます。

○参加者
出来事(インシデント)と収集した事実を統合し、自分なりに事例の全体像を明確にします。そして問題点を一つに絞り、自分の意見を述べます。また、自分なりの「具体案」を書きます。

○発表者
参加者が出した問題点と自分が考えている問題点を比較検討します。

第4ステップ:グループワーク、対応策と理由の議論

○司会者
分類した内容を提示し、参加者をグループ分けした上で、各グループでリーダーを決め、自由に問題点を話し合ってもらいます。

○参加者
グループのリーダーを決め、「具体案」について話し合い、グループとしての内容と理由を固めます。そして、その内容と理由をグループごとに発表します。

○発表者
参加者が考えた対応と自分の実際の対応を比較検討します。グループの中で、自分が実際に取った対応は話さないようにします。最後に、実際の対応とその後の経過を発表します。

第5ステップ:学んだ内容の検討・見直し

○司会者
参加者に対し、何を学んだのか問います。その学びに関する話し合いには時間をかけるよういします。そして、補足事項や感想について発表者に問います。

○参加者
全体を振り返って、この事例と参加者相互の話し合いから何を教訓として学んだのか話します。

○発表者
言い残したことや事例研究の経過について感想を述べます。

用語解説一覧

【経営層向け】
・学習する組織とは?
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・ミッションステートメントとは?
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・組織の成功循環モデルとは?
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・組織の7Sとは?
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・オープン・ブックマネジメントとは?
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・EQ:こころの知能指数とは?
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【マネジャー向け】
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【人事担当者向け】
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