2020.10.20
マインドセットとは
(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)
「マインドセット」とは、その人が受けた教育や人生の中で経験してきたこと、生まれ持った性質や先入観から形成される思考様式・心理状態を意味しています。暗黙の了解やパラダイム(思い込み)、価値観や信念等も含まれます。
語源となる英語 Mindsetには、一人一人の中で固定された考え方・モノの見方、また各々の好み・習慣という意味があります。
マインドセットによって、人や組織の成長や育成にどのように影響があるのか、解説していきます。
自信喪失した日本人のマインドセット
例えば、閉塞感の強い社会で日本人は自信を失っている、という見方があります。しかし視点を変えてみると、グローバルな日本企業が沢山あり、信頼の高い日本製品が世界中に出回っています。
つまり、多くの日本人が将来に対して悲観的なマインドセットに陥り凝り固まっている事実は否めないのです。
これは、米国カリフォルニア大学・バークレー校のローラ・クレイ准教授が日本人ビジネスマンに檄を飛ばしたスピーチにも如実に現れています。
「ものの見方によって、一人の人間としてあるいは組織の一員として成長や変化にどう貢献できるかが定まる。(中略)成長志向のマインドセットを奨励し、硬直化したマインドセットをぬぐい捨ててほしい。常に相手と話し合い、自分や他者の変化に注目し、フィードバックを与えてほしい。厳しい結果も受け入れ、失敗を恐れず、逆にこれはチャンスだと考えてほしい。(中略)日本の企業にとって個人が発展し、成長する能力を持つためには成長志向のマインドセットが必要だ」
“成長志向のマインドセット”とは
リーダーシップに対する理解の仕方も、各人のマインドセットによって異なります。
例えば、固定観念に囚われている人は、優れたリーダーの資質は生まれつき備わっているものだと思い込んでいるかもしれません。一方で、成長志向のマインドセットを持つ人は、誰しも努力すれば優れたリーダーとして力を発揮することが出来ると考えるかもしれません。前者は、自分にリーダーの資質がないと思い込み努力を放棄してしまう傾向が見られます。一方後者は、努力すれば成長を伴い成功へ向かうと考えるため、簡単には諦めない傾向があります。
前出のクレイ准教授によると、『個人レベルでも組織レベルでも、成長する“信念”の有無がパフォーマンスを大きく左右する』と、研究結果を結論付けています。問題を効果的に解決できるか否か、タフな交渉や激しい対立と粘り強く立ち向かって乗り越えられるか否か、といった点で、成長志向のマインドセットを持つ人のほうが勝っている上に倫理観が高いことも認められています。
マインドセットを変える重要性
不祥事で破綻したエンロンは、かつて全米で最も優秀な人材を集める企業として名を馳せました。その逆説は、生まれつき優れた人材を集めさえすれば組織もうまくいくと考える硬直的なマインドセットです。けれども実際は、マインドセットは変えられます。
GE(ゼネラル・エレクトリック)のジャック・ウェルチは、自ら人材育成に取り組み、成長志向のマインドセットを従業員に植え付けることに成功しました。その秘訣について、前出のクレイ准教授は以下の通り述べています。
「GEの組織もウェルチ個人も常に成功していたわけではない。ただ、柔軟に失敗を受け入れる素地があった」
一方で、日本の企業風土に対しては「失敗に対する許容度が非常に低い」と見解を述べています。
企業組織におけるマインドセット
では、日本の企業風土におけるマインドセットを刷新するには何が必要なのか。通常、企業のマインドセットは、経営戦略や企業理念、歴史、市場特性、製品特性、社員の能力等が相互に絡み合って形作られています。
大きく分けると以下、3つです。
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製品・サービス・事業の特性
例えば、常にサービスをアップグレードし続けなければならないIT業界や、各製品のライフサイクルが短く定期的に新商品の発表を繰り返す家電業界は、経営陣のスピーディーな意思決定が求められます。そのため、会議時間の短縮や積極的な議論への努力といったマインドセットが認められます。
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経営戦略・経営理念
鶏が先か、卵が先かという話のように、企業の存在ありきでその中に技術を有するところで終わらず、製品シェアを伸ばすために技術力を磨き、結果、技術ありきの企業となり、それが経営理念として組織文化のマインドセットになるケースがあります。
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企業独自の原体験
企業には革新的イノベーションといった成功体験だけでなく、存続自体を脅かす不祥事などの失敗体験も含まれます。成功と失敗を繰り返す中で、組織自体の本質的なマインドセットを都度見直すことが必要となります。
※本記事は、ネットや書籍から情報を収集した上で、弊社および第三者の知識を加えて加筆修正した記事です。
用語解説一覧
【経営層向け】
・学習する組織とは?
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・組織の成功循環モデルとは?
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・オープン・ブックマネジメントとは?
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【マネジャー向け】
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