フリーミアムとは!?フリーとプレミアム!無料という戦略!

2021.01.19

フリーミアムとは

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスや製品を無料で多数のユーザーに提供し、さらに高度なサービスや特別な機能に関しては、課金するなどの方法を用いて、有料で行う事により収益を得る仕組みのビジネスモデルです。「フリーミアム」(Freemium)という単語は、「フリー」(Free:無料)と「プレミアム」(Premium:割増)という、このビジネスモデルにおける2つの側面を組み合わせて作られた造語です。フリーミアムのビジネスモデルは、2006年3月23日、ベンチャー投資家のフレッド・ウィルソン(Fred Wilson)の発案を元に、以下のように提唱されました。

「サービスを無料で提供し、場合によっては広告収入でそれを支え、口コミ、紹介ネットワーク、有機的な検索マーケティングなどを用いて非常に効率的な方法で多数の顧客を獲得し、顧客基盤に対して付加価値サービスや強化版サービスを割増価格で提供する事。」

ウィルソンがこのビジネスモデルの名称について提案を募ったところ、数時間以内に30以上の名前が彼のブログ読者から提案されました。その中の一つが「フリーミアム」だったのです。

ITにおけるフリーミアムの定着

「フリーミアム」という用語はその後、アメリカの著名なIT(情報技術)誌「WIRED/ワイアード」の編集長クリス・アンダーソンらによって、広く紹介されました。アンダーソンは2009年7月に著書「Free: The Future of a Radical Price」(邦題:フリー <無料>からお金を生みだす新戦略)を出版する際に、フリーミアムの戦略に基づき2週間限定で全文をインターネット上で無料公開したのです。無料のダウンロード数が30万件を記録したにもかかわらず、結果的に著書はベストセラーとなりました。

アンダーソンは上記著作「フリー」の中で、「特にデジタルコンテンツに関しては、5%の有料利用者が95%の無料利用者を支えるようになる」と予見しています。実際、フリーミアムの戦略は「機能限定版を無料にし、高機能版を有料にする」方法や「利用開始から一定期間は無料にし、それ以降は有料にする」方法など複数の手法があり、ネット上で成功を遂げている実現例が多く見られます。

リアルビジネスにおける成功例

(画像は弊社人材開発用語集より抜粋)

リアルなビジネスでフリーミアムが成功した実例としては、日本マクドナルドが実施した無料コーヒーキャンペーンが挙げられます。2009年7月下旬から9月中旬にかけて、時間帯を限定し、かつ地域を限定するという戦略で、各地にて順次実施されたマクドナルドの無料コーヒーキャンペーンは、大きな話題となりました。

このキャンペーンは、「2004年から着手した全社改革の集大成」のうち1つであるという位置づけでした。それ以前の同社の戦略では、価格競争を徹底しすぎるあまり、「安かろう、悪かろう」の印象が消費者に定着してしまい、その結果、飲食をする場所を選ぶ際に消費者が選択肢の中に入れないというケースが増えてしまったのです。そこで、店舗と接客および商品のすべてを段階的に改善するということを繰り返し続け、ようやく「トータルの店舗体験」に対して消費者に価値を感じてもらえるレベルに達したと判断し、日本マクドナルドはこのキャンペーンを仕掛けたのです。

普段マクドナルドに馴染みのない人や、以前は利用していたけれども最近は足が遠のいてしまった人の来店を促して、改善された“店舗”を体感してもらうことにより、「また来たい」店と消費者に思ってもらうための戦略でしたが、一方で、「キャンペーン期間中、無料コーヒーと一緒に、ハンバーガーやホットドックなどを一緒に注文する人も一定数以上いるはず」という仮説を立てていました。この予測は的中し、実際に、この「ついで買い」によってキャンペーンの収支は最終的に黒字をたたき出し、これまで潜在顧客として販促活動が手薄であったビジネスパーソンやシニア層の再来店が増加することにつながったのです。

フリーミアム戦略の観点から見ると、無料コーヒーがフリー部分、無料コーヒー以外の店舗サービスと商品すべてがプレミアム部分にあたります。その後のマクドナルドの展開を見ても、リアルなビジネスでの成功事例の一つと言えるでしょう。

フリーミアムの効用

フリーミアム自体は古くから存在するマーケティング手法の一つですが、ITの時代になり、ウェブ上のデジタルコンテンツの場合、基本となるサービスさえ構築すれば提供時にコストを殆どかけなくて済む利点があります。また、無料サービス自体が魅力的であり、利用や導入がしやすいこと、そして有料と無料の境目が明確で、有料サービスの優位性がわかりやすいことも利点として挙げられます。

用語解説一覧

【経営層向け】
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